飯豊山、
秋の稜線に一泊する

御沢から本山へ。夕陽と強風、雨を迎える前の下山

秋の飯豊で、夕陽を見送ってから山を下りたい。そのために今回は、稜線で一晩を過ごす計画にした。

大日岳まで足を延ばし、御西小屋でテントを張るつもりで、1泊2日の装備を背負って御沢から入った。

実際には、体調と天気を見て本山小屋のテン場までに行程を短縮することになった。それでも、夕方から翌朝まで山の上にいられたことで、飯豊の山深さを感じる時間は十分にあった。

長い登りの始まり

紅葉に囲まれた御沢の登山口周辺
紅葉に囲まれた御沢の登山口周辺

朝6時半過ぎ、御沢の駐車場から歩き始める。登山口ではかなり冷え込んでいた。周囲の木々には秋の色が残り、まずはその森の中へ入っていく。

御沢登山口の大きな杉
御沢登山口の大きな杉

御沢登山口から登山道に入り、長坂の長い登りへ。稜線に向けて大きく標高を上げていく。

長坂の登りに立つ下十五里の道標
長坂の登りに立つ下十五里の道標

初日は体調があまり良くなく、思うようにペースが上がらなかった。朝の冷え込みから一転、日中は予想以上に暑い。テント泊装備の重さもあって、序盤からなかなか歩き応えがある。

横峰を経て、剣ヶ峰の岩場を越える。三国小屋に着いたのは11時過ぎ。少し長めに休んで、切合小屋へ向かった。

山を重ねながら、本山へ

稜線から望む磐梯山と猪苗代湖方面
稜線から望む磐梯山と猪苗代湖方面

稜線から磐梯山と猪苗代湖の方を望む。飯豊の山並みを眺めるのとはまた違う、遠くまで視界が開けた景色だった。

三国小屋から切合小屋へ向かう途中では、滑落事故の現場付近を通りかかった。同行者の方から、救助ヘリを要請したことなどを聞く。深い谷を抱えた山では、救助も容易ではない。景色を楽しみながらも、足元には改めて気を配って進んだ。

秋色に染まった稜線と、その先に続く道
秋色に染まった稜線と、その先に続く道

稜線付近には紅葉も残っていた。緑の笹と、赤や茶色に変わった斜面。その先にまた次の山が見える。

登山口からひと登りすれば終わり、という山ではない。稜線へ上がってからもアップダウンが続き、テント泊の荷物がじわじわ効いてくる。

小屋閉め後の切合小屋
小屋閉め後の切合小屋

13時過ぎ、切合小屋へ。小屋閉め後の日曜日ということもあって、山は静かだった。登りでは7〜8組ほどの下山者とすれ違ったものの、同じように上へ向かう人は少ない。

草履塚から見渡す飯豊本山方面
草履塚から見渡す飯豊本山方面

草履塚まで来ても、本山へはまだ登り返しがある。

体調と歩くペースに加え、翌日は当初の予報より早く天気が崩れる見込みになっていた。御西小屋まで進み、大日岳にも足を延ばす予定だったが、今回は無理をせず、本山小屋のテン場で泊まることにした。

大日岳は、次の機会に持ち越し。行きたい場所は残るけれど、翌日の下山まで含めて考えると、ここで行程を短くする方がよさそうだった。

夕方の稜線を歩く

夕方の光を受ける本山小屋周辺
夕方の光を受ける本山小屋周辺

16時過ぎ、本山小屋周辺。ここまで上がってきたのは、自分を含めて2組だけだった。地元の新潟から来られたお二人は避難小屋泊で、テン場は自分ひとり。もう少し人がいると思っていたので、意外な静けさだった。

飯豊山頂付近から振り返る稜線
飯豊山頂付近から振り返る稜線

飯豊山頂へ向かう。夕方の光の中で振り返ると、稜線の起伏がよく分かる。朝から重い荷物を背負って歩いてきた先に、ようやくこの時間があった。

御西岳、大日岳へと続く稜線
御西岳、大日岳へと続く稜線

その向こうには、今回歩くつもりだった御西岳、大日岳へと続く稜線。眺めていると、やっぱりあちらまで行ってみたくなる。

飯豊本山に登っても、飯豊連峰の広さはまだ先に続いている。今回はここまで。それでも、次に歩きたい場所を自分の目で見られたのは良かった。

飯豊山頂の標柱と西に傾く太陽
飯豊山頂の標柱と西に傾く太陽

西へ傾いた太陽を眺めながら、山頂でしばらく過ごす。日帰りなら、もう下山している時間だ。稜線で泊まりたかったのは、こういう時間を持ちたかったからでもある。

山頂から小屋の方へ戻る間にも、空の色が変わっていく。日本海の方へ沈んでいく夕陽を眺めながら、テン場へ戻った。

貸切のテン場、風の強い夜

夕焼けの下、本山小屋のテン場に張ったテント
夕焼けの下、本山小屋のテン場に張ったテント

17時、テントと夕焼け。

本山小屋のテン場には風除けの石垣がいくつもある。ただ、今回のテントはサイズが合わず、石垣を十分に利用できなかった。夜になると西側の谷から吹き込む風が強くなり、生地がかなりばたついた。

ダブルウォールで結露が少ないのは良かったが、稜線では設営場所と張り方をもう少し工夫したい。夜間の気温は7℃くらいでも、風が強いぶん体感はもっと寒かった。

キルトにショートサイズのエアマットとクローズドセルマットを組み合わせた寝床も、マットのつなぎ目の保温には改善の余地がありそうだった。

夜半に目が覚めて外をのぞくと、星空と街の夜景がきれいに見えた。星景写真を撮ろうと小型三脚も持ってきていたが、この風では断念。写真には残せなかったものの、山の上で夜を過ごしたから見られた景色だった。

朝焼けの中を下る

下山を始めた稜線で見上げた朝の雲
下山を始めた稜線で見上げた朝の雲

翌朝は、雨が降る前に剣ヶ峰の岩場を通過したかった。4時半頃にはテントを撤収し、5時過ぎから下山を開始する。

歩いているうちに、雲の端が少しずつ赤くなってきた。

雲の切れ間を赤く染める朝焼け
雲の切れ間を赤く染める朝焼け

5時52分。朝焼けが、雲の切れ間を鮮やかに染めていた。

朝焼けに赤く染まる山頂の斜面
朝焼けに赤く染まる山頂の斜面

前日の穏やかな青空とは違う、雲の多い朝。同じ道を戻っていても、空の色と光が違うと景色の印象も変わる。

厚い雲の向こうから差し込む朝の光
厚い雲の向こうから差し込む朝の光

6時24分、厚い雲の向こうから光が差し込む。立ち止まって写真を撮りつつ、先へ進む。切合小屋を経て、三国小屋、そして剣ヶ峰へ。今日はこの先の岩場を越えるまで、天気が気にかかる。

雲の切れ間から光が差す秋色の稜線
雲の切れ間から光が差す秋色の稜線
三国小屋付近から見る雲のかかった山並み
三国小屋付近から見る雲のかかった山並み

三国小屋付近まで戻ると、山並みには雲がかかっていた。前日には遠くまで見渡せた景色が、少しずつ閉じていく。

剣ヶ峰付近の岩稜と秋の斜面
剣ヶ峰付近の岩稜と秋の斜面

8時過ぎ、剣ヶ峰付近の岩場へ。濡れると滑りそうな箇所もあるため、足元を確かめながら下る。早く下山を始めたかったのは、この区間があったからだ。

岩場を越えた後も、御沢までは長い下りが続く。

下山途中の森で見上げた紅葉
下山途中の森で見上げた紅葉

森へ戻ると、頭の上にはまた紅葉があった。9時25分に見上げた木々を最後に、写真を撮りながらの2日間も終わりに近づく。10時28分、駐車場に戻った。

大日岳まで行けなかったのは残念だった。それでも、秋色の稜線を歩き、夕陽を見送り、強風の夜を過ごし、朝焼けの中を下ってきた。飯豊の大きさを感じるには、十分な2日間だった。

行程を短縮したぶん食料もかなり余った。荷物の量、寝床の保温、風を受けにくい設営。次のテント泊に向けて見直したいことも、いくつか持ち帰った。

飯豊山、晩秋の稜線テン泊 — YAMAP活動日記

Route

今回の経路

御沢から三国岳、切合小屋を経て飯豊山へ。本山小屋のテン場で一泊し、翌朝は同じ道を下った約21.5kmの往復ルート。

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