サムネイル・カバー画像:Apple Newsroomの製品写真をもとにAIで再構成。実機の撮影写真ではありません。
9月に、「折りたたみiPhoneは、Appleの『終わりの始まり』なのか」という記事を書いた。
10月23日、iPhone Duoの発売日。結局、Apple Storeで買ってきた。選んだのはミッドナイト。購入した日はまだ未開封だったが、その後、実際に使ってみた。
店員さんによると、確保できるかは開始30秒の勝負だったとか。次の入荷は1月になるかもしれない、という話も聞いた。
あくまで店頭で聞いた話で、対象のモデルや入荷日までは確認していない。まずは手に入った一台を、自分の生活で使って確かめてみることにした。
前の記事で気になっていたのは、折りたたむこと自体ではない。先行する製品に対して、Appleが何を提案するのか。完成度の高い後追いで終わらないか、ということだった。
その疑問は残っている。ただ、自分で使って確かめたくなった。
買った理由は、大きな画面と2つのアプリ
購入の理由は現実的だ。老眼もあって、iPhone 15 Proの画面が少し窮屈になってきた。
文字を大きくすると、今度は一度に見える範囲が狭くなる。13インチのiPadも使っているが、いつでも取り出せるわけではない。ポケットに入る端末で、必要なときだけ画面を広げられることには魅力がある。
もうひとつは、2つのアプリを並べて使えること。調べものをしながらメモを書く、地図を見ながら別の情報を確認する。そんな場面で、アプリを行ったり来たりする手間が減るならありがたい。
マットな画面はいい。ただ、Touch IDが気になる
開いたディスプレイのマットな質感は、とてもいい。本を読んだり、Webページを見たりするのが気持ちいい。画面が大きいことに加えて、この見え方はかなり気に入っている。
自分のサイトを開いてみても、縦持ちと横持ちで見え方が変わる。開いて横向きにすると、ナビゲーションが展開され、記事のカードも横に並ぶ。同じWebページでも、画面の幅を生かした表示になる。
画面は2026年10月25日時点。内側・外側のサイズ差を比較できるよう、画像ごとの縮小率を補正し、ベゼルを重ねて掲載しています。画像をタップすると拡大できます。
一方、気になるのがFace IDからTouch IDへの変更だ。
持ち方や開閉状態によって、手に対する認証ボタンの位置が変わる。顔を向ければよかった操作で、今度はボタンに指を合わせなければならない。使ってみると、ここが思った以上に使いづらい。
次のモデルではFace IDが載るのではないか、と考えてしまう。もちろん個人的な予想だが、折りたたみで持ち方が変わるからこそ、ボタンの位置を意識せずに認証できてほしい。
文字入力については、閉じた状態や縦持ちが打ちやすい。テンキー入力ができず、QWERTY配列を使う自分には、この使い勝手も大事なところだ。読むときの画面の広さと、文字を打つときの使いやすさは、別に考えた方がよさそうだ。
横向きでは、キーボードを左右に分割した表示も試してみた。入力方法にも選択肢はあるが、今のところ自分には閉じた状態や縦持ちが合っている。
アプリの対応も、まだ少ないと感じる。画面の広さを生かして使えるアプリが増えれば、さらに使いやすくなりそうだ。
数日使って、普段の扱い方も変わった
車載ホルダーは、そのまま使えると思っていた
車では、これまでBelkinの楕円形のMagSafe車載ホルダーにiPhoneを貼り付けていた。ところがDuoでは、どうもうまく収まらない。閉じたときの縦サイズが短いせいなのか、以前のようにすっと貼り付けられない。
原因はまだ切り分けられていないが、手持ちのアクセサリーが同じ感覚で使えるとは限らないようだ。
裸で使うには、まだ気を遣う
MOFTのダイナミックフォリオを注文しているが、まだ届いていない。そのため今はケースなしで使っていて、持ち歩くときもかなり慎重になる。
手持ちの山と道の5-Pocket Pantsのポケットには、裸の状態でギリギリ入る。ただ、ケースを付けると入らない。まだDuoを持って山には行っていないので、歩いているときの収まりや取り出しやすさは、これから確かめたい。
Suicaも、iPhoneからApple Watchに移した。改札でDuoを無造作にタッチするのが、どうにも気が引ける。画面が広くなった一方で、これまでiPhoneで済ませていたことをWatchに任せるようになった。
カードは、どこに当てればいいのか
マイナンバーカードなどの読み取り位置も、少し分かりにくい。以前のiPhoneでは、上でも下でも反応していたような感覚があった。Duoでは、閉じた状態だと外側のカメラがある面に当てたときしか反応しない気がする。正確な位置は、まだつかめていない。
カードをどこに当てるか、丁寧に図示してくれるアプリもあった。ところが、その図の位置ではうまく読み取れず、かえって迷ってしまった。
こうした案内も「iPhoneならこのあたり」で済ませず、機種ごとの形や読み取り位置に合わせる必要がありそうだ。折りたたみに変わると、画面のレイアウトだけでなく、こういう小さな操作の案内にも違いが出てくる。
折りたたみの発想は、どこから来たのか
今回、気になって調べたのが、その起源だ。
「折りたたみスマホ」といっても、本体を折ること、2枚の画面を広げること、画面そのものを曲げることは、それぞれ違う。
2008年には、Nokiaとケンブリッジ大学が、形を変えられる端末のコンセプト「Morph」を発表している。製品ではなく将来の構想だが、端末を一枚の板に限定しない考え方は、すでにあった(ケンブリッジ大学の発表)。
日本でも2013年に、2枚の画面を開いて使う「MEDIAS W」が発売された。画面は曲がらないが、小さく持ち歩き、大きく使うという目的は今と共通している(NTTドコモの発表)。
画面自体が曲がる商用スマートフォンでは、Royoleが2018年に「FlexPai」を世界初として発表。SamsungのGalaxy Foldの発表は2019年だった(Royoleの発表、Samsungの発表)。
ひとつの会社が突然生み出したというより、構想、画面技術、製品化の積み重ねで、今の形になったと考える方が自然だろう。
Appleへの懸念は消えたのか
歴史を振り返ると、「誰が最初に考えたか」だけで評価するのは単純すぎる。
ただ、先行メーカーの試行錯誤を、Appleが参入した途端になかったことにするのも違う。気になるのは、その積み重ねにAppleが何を加えたかだ。
少なくとも、開いた画面で本やWebを読む体験は気に入った。一方で、認証の使い勝手やアプリの対応には、まだ改善してほしいところがある。車載ホルダーとの相性やカードの読み取りなど、普段の扱いにも慣れ直しが必要だった。
自分にとって便利なことと、Appleが新しい方向を示したことは、別々に評価したい。買ったからといって、前の記事の疑問まで解消したことにはならない。
今後は、アプリが広い画面をどう使うようになるかにも期待している。単に表示量が増えるだけでなく、比較する、調べながら書くといった作業が自然になるなら、折りたたむ意味も大きくなる。
耐久性や、登山に持ち出したときの使い勝手は、これからだ。
まずは普段の生活で使ってみる。新鮮さが薄れたあとにも「これでよかった」と思えるか。その頃には、前の記事への答えも、もう少しはっきりすると思う。









